地球の周囲の長さは、一体どのくらいなのでしょうか。
普段は意識することのないこの質問に、私たちは興味を持ちます。
地球一周の距離は実際にはどれくらいなのか?様々な交通手段で旅をした場合、それぞれどれくらいの時間がかかるのでしょうか?
この記事では、これらの疑問に答えていきます。
驚くことに、私たちが普段使っている測定単位は、地球の周囲の長さと密接に関係しています。
世界を旅する計画がなくても、これらの情報は知っておくと面白いでしょう。
地球の全周はどれだけ?
地球を一周すると、約40,000キロメートルになります。
地球の周囲には、赤道周りと北極から南極を通る長さの2種類があり、これらの距離はわずかに異なります。
赤道の方が少し長く、地球は完全な円形ではなく、少し扁平な形をしています。
- 赤道の長さ:40,075km
- 北極と南極を通る長さ:40,009km
赤道がわずかに長いですが、この差は1%未満で、一般には約40,000キロメートルとされています。
ただの数字ではピンとこないかもしれませんね。
それでは、実際に地球を一周すると、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
地球一周するのにかかる時間は?
地球を一周する40,000キロメートルを、徒歩、新幹線、飛行機で移動する場合、それぞれどれくらいの時間がかかるか見てみましょう。
徒歩
結果から言うと、約333日が必要です。
計算方法は、距離を時速で割って時間を求めます。
- 時速5kmで歩くと仮定して
- 40,000km ÷ 5km/時 = 8,000時間
- 8,000時間 ÷ 24 = 333.333…
よって、約333日が必要となります。
これは、一年間ほどずっと歩き続けるという計算です。
もちろん、これは24時間休まず歩き続けた場合の理論上の話です。
新幹線を使った場合
地球一周を新幹線で行う場合、約7日間かかります。
- 新幹線の速度を時速250kmとしています。
- 40,000kmを250km/時で割ると160時間になります。
- これを24時間で割ると、約6.666…日となります。
なので、新幹線で地球一周するには「約7日間(一週間)」必要です。
もちろん、これは休憩を取らずにずっと運行し続けた場合の理論値です。
飛行機を利用した場合
飛行機を使って地球を一周する場合、約2日間が必要です。
ここでは、ジェット旅客機の速度を時速800kmで計算しています。
- 40,000kmを800km/時で割ると50時間が必要です。
- これを24時間で割ると約2.0833…日になります。
つまり、飛行機で地球一周にはおよそ2日間かかるということです。
ただし、これは休憩や給油をしない場合の計算で、実際は途中での給油や休憩を考慮すると、3日から4日程度かかると考えられます。
地球全周の測定方法
かつて地球全周の距離を最初に測定したのは、紀元前のギリシャの学者たちでした。
その中でも、エラトステネスというエジプトの学者がこの測定を行った最初の人物として知られています。
古代の学者たちは、どのようにして地球の周囲の距離を測定したのでしょうか。
以下で、その方法について解説します。
エラトステネスによる地球全周測定法
エラトステネスが地球全周の距離を測定するきっかけとなったのは、彼がエジプトのシエネ(現在のアスワン)を訪れた際の出来事でした。
夏至の正午に、シエネの井戸の底に太陽の光が届いているのを見た彼は、同じ日のアレクサンドリアでは井戸の底に太陽の光が届かないことに気付きました。
これは地球が球形であることによる現象です。
シエネでは夏至の正午に太陽が真上にあるのに対し、アレクサンドリアでは太陽が南に傾いていました。
エラトステネスは、これを基に地球が球形であることを利用して、地球全周の距離を測定しようと考えました。
彼はアレクサンドリアで夏至の正午に太陽の位置を測定し、天頂から7.2度南に位置していることを確認しました。
アレクサンドリアとシエネの距離が925kmであることを知り、このデータを使って地球全周の距離を計算しました。
この方法で得られた地球全周の距離は約46,000kmとされ、実際の距離に比べて約15%の誤差があるものの、驚くほど正確な測定でした。
紀元前にすでにこのように地球全周の距離が計算されていたことは、非常に驚くべき事実です。
現代の地球全周の測定法
現代では、地球全周の距離はどのように測定されているのでしょうか。
ここでは、現代の2つの主な測定方法を紹介します。
一つは私たちでも実施可能な方法です。
人工衛星とレーザーを使った測定方法
この測定法は宇宙技術を活用しています。
以下の手順で進められます。
- 人工衛星と地球の中心との距離を測定します(これは人工衛星の軌道を元に算出できます)。
- 地表から人工衛星までの距離を測定します。
- これら2つの距離の差から地球の半径を計算します。
- その半径を用いて地球の円周を求めます(円周は「半径 × 2 × π」の計算で求められます)。
- 地表から人工衛星へレーザーを発射し、その反射した光が地表に戻るまでの時間から距離を算出します。
この方法は一般の人にとっては高度な測定法ですが、より身近な方法も存在します。
GPS機能を使った測定法
もっと手軽な測定方法として、私たちが実行できる方法もあります。
エラトステネスの方法に似ていますが、現代技術を利用したものです。
- スマートフォンのアプリのGPS機能を使い、南北に離れた2地点の緯度を測定します。
- これら2地点間の距離を計算します。
- その後、エラトステネスの方法と同様の計算を行います。
この方法なら、人工衛星を利用するよりも簡単に実行できます。
メートルの長さは地球の周囲を基準に決定?
実は「1メートル」の長さは地球の周囲の距離を基に設定されたものです。
これは18世紀後半に確立された「メートル法」の一部として定められました。
赤道から北極までの距離が約1万キロメートルであることから、地球一周はその4倍、約4万キロメートルとなります。
日常で使われる「1メートル」という単位が、地球の周囲の長さに基づいていたというのは、意外な事実かもしれません。
地球の周囲の長さを知り、新たな知識を得よう
地球全周の測定方法 | 紀元前ギリシャの学者エラトステネスによる初の測定法。 |
地球一周の距離 | 徒歩で約333日、新幹線で約7日、飛行機で約2日。 実際の旅行では休憩や給油が必要。 |
現代の測定方法 | 人工衛星とレーザー、GPS機能を使用。 より正確で高度な技術を駆使。 |
メートルの定義 | 赤道から北極までの距離の1千万分の1として定められた。 |
このまとめでは、地球の周囲の長さを測定する古代から現代に至るまでの方法と、異なる交通手段を用いた地球一周にかかる時間を紹介しています。
エラトステネスによる古代の測定法から現代の先進技術まで、これらの情報は私たちの理解を深めるものです。
また「1メートル」の定義が、地球の周囲の距離に基づいていたという事実も含まれています。