紫陽花(アジサイ)の別名は何種類ある?四葩や七変化など9種類!

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紫陽花(アジサイ)の別名は何種類ある?四葩や七変化など9種類!

紫陽花(アジサイ)にはどんな別称があるのでしょうか?

こちらがその9つの呼び名です。

  • 四片/四葩(よひら)
  • 七変化
  • 手鞠花(てまりばな)
  • オタクサ
  • 八仙花(はっせんか)
  • またぶりぐさ
  • 止毛久佐(トモクサ・シモクサ)
  • 額花(がくばな・がくのはな)
  • 本紫陽花(ほんあじさい)

これらの呼び名の存在は興味深いですね。

いくつかは俳句の季語として用いられたり、お菓子の名前に使われるなど、親しみやすいものもありますよね。

ここでは更に

  • 紫陽花の9つの別称の起源
  • 紫陽花の英名

このような情報を花好きな私が紹介します。

目次

紫陽花の別称【全9種類】

もう一度、紫陽花(アジサイ)の別称を見てみましょう。

  • 四片/四葩(よひら)
  • 七変化
  • 手鞠花(てまりばな)
  • オタクサ
  • 八仙花(はっせんか)
  • またぶりぐさ
  • 止毛久佐(トモクサ・シモクサ)
  • 額花(がくばな・がくのはな)
  • 本紫陽花(ほんあじさい)

これらの多様性は、紫陽花が長い間、日本の文化の中で愛されてきた証拠です。それでは、これら紫陽花の別称の背景について詳しく見ていきましょう。

紫陽花の別名:七変化

「七変化」という名前は、紫陽花の色彩が変わる特性に由来しています。紫陽花の色は、土の種類や成長の過程によって変わることが知られています。これらの理由を一つずつ見ていきましょう。

土壌の影響で色が変化する

紫陽花の色が植えられる場所に応じて変わる現象はよく知られています。この色の変化は土壌の性質が大きく関係しています。

  • 酸性土壌では青色に
  • 中性/アルカリ性土壌では赤色に

日本のように雨量が多いと土壌のアルカリ成分が流れやすく、土壌が酸性に傾くため紫陽花は青く染まりやすいです。しかし、アルカリ性の土壌を持つ地域では赤い紫陽花が見られます。このように変わりやすい紫陽花の色は「七変化」という名前の由来となりました。

成長過程で色が変化する

紫陽花は開花から枯れるまでの間に、色が次々と変わります。この変化の順序は以下のようになります。

  1. 黄緑色
  2. 青色
  3. 赤色
  4. 緑色

色の変化は、アントシアニンやそれを支える酵素によって生じる色素が関係しています。花が最も盛んな時期には、これらの色素が多く生成されて色が深まります。しかし、時間が経つにつれて色素が分解され、最終的には緑色に戻って花期が終わります。

このように短期間で様々な色に変わる紫陽花は、歌舞伎の「早替り」を思わせるほどで、「七変化」という名前がぴったりだと思わせる理由です。

紫陽花の別名:手鞠花(てまりばな)

「手鞠花(てまりばな)」という名称は、古来日本で楽しまれてきた手鞠、つまり手で弾ませて遊ぶ糸や綿を巻いた球形の遊具から来ています。紫陽花の球状でふっくらとした花が、この手鞠に形が似ているためにこの名前がつけられました。

現代においても、西洋アジサイの品種に「てまりてまり」と名付けられるなど、この比喩は引き継がれています。昔から人々が紫陽花の球形の花を見て、手鞠を連想し愛称をつける心情は理解できます。

※なお初夏に球形の花をつける大手毬(オオデマリ)にも「手鞠花」という名前があります。

紫陽花の別名:オタクサ

「オタクサ」という名前はその起源がとても興味深いものです。このカタカナで表記された名前は、長崎の出島に来たドイツ人の医師兼博物学者、シーボルトと関係があります。彼は日本の未知の動植物を西洋に紹介するための調査を行っており、その過程で紫陽花に特別な興味を持ちました。

彼が紫陽花の学名を付ける際に、彼の通訳であった楠本滝さん(お滝さん)の名を取り入れようとした結果、「オタクサ」という名前が生まれました。シーボルトの『日本植物誌』にもこの名前で記載されています。現在、長崎には彼を記念した「おたくさ」という名前の銘菓も存在します。

※ただし、紫陽花の正式な学名はHydrangea macrophylla (ハイドランジア マクロフィラ)とされており、それが一般的に用いられています。

紫陽花の別名:八仙花(はっせんか)

「八仙花(はっせんか)」は、紫陽花を指す中国起源の名称です。「八仙」とは、中国の道教における8人の伝説的な仙人を意味します。紫陽花が多彩な色に変化する特性が、これらの仙人が持つ多様な能力や姿を連想させることからこの名が由来しているとされています。

今では日本ではあまり聞かれなくなった名称ですが、かつては中国の名称が日本においても紫陽花の呼称として広まっていた時期がありました。特に、鎌倉に位置する明月院(通称「あじさい寺」)近くの老舗菓子メーカー「豊島屋」では、「八仙花」と名付けられた羊羹が販売されています。

紫陽花の別名:またぶりぐさ

室町時代に編纂された歌論集『言塵集』では、紫陽花を「またぶりぐさ」と記述しています。この名称は一見すると粗野な響きがありますが、実はその印象はかなり的を射ています。当時、紫陽花の大きな葉がトイレ用の紙として利用されていたことが、この名前の由来になっているからです。

※『言塵集』は、今川貞世が著した文学に関する書籍です。

紫陽花の別名:止毛久佐(トモクサ・シモクサ)

一部地域では紫陽花を「止毛久佐(トモクサ・シモクサ)」と称していました。「下の草」とも解釈できるこの名前も、またぶりぐさと同様に、紫陽花の葉がトイレ用紙の代用品として使われたことに起因します。

日本の各地、特に古い家々の庭でよく見かける紫陽花ですが、その普及には美しさだけでなく、このような実用的な理由もあったのかもしれません。

紫陽花の別名:額花(がくばな・がくのはな)

「額花(がくばな・がくのはな)」は、特にガクアジサイを指す名前として知られています。ガクアジサイ特有の特徴を表す際に用いられるこの言葉は、紫陽花全般ではなく、特定の種類を指す場合に使われることが多いです。山口誓子という詩人の作品にも、この額花を題材とした俳句が存在します。

紫陽花の別名:真紫陽花(しんあじさい)

真紫陽花(しんあじさい)とは、一般に「あじさい」として知られる花の正式な総称です。こちらは、ガクアジサイを除くいわゆる「標準的なあじさい」を指す呼び名になります。

実は、ガクアジサイが元種であり、俗に言う「普通のあじさい」はその栽培形態であることが意外な事実です。このように、ガクアジサイとの区分けのために「真紫陽花」という名が与えられたわけです。

※西洋アジサイは、この真紫陽花が西洋に渡って品種改良された結果生まれたものです。

紫陽花と誤認されがちな2つの名称

紫陽花の別名として誤って認識されることがある2つの名称が存在します。

  • 紫端集(むらさきはしづめ)
  • 奇妙奇天烈(きみょうきてんれつ)

紫端集(むらさきはしづめ)

あるバラエティ番組で出題された「紫陽花の別名は?」というクイズで、「紫端集」が選択肢に含まれていたことから、この言葉を紫陽花の別名と誤解する人が出ました。

しかし、実際には「紫端集(むらさきはしづめ)」はライラックの別称であり、紫色の小さな花が密集して咲く様子が紫陽花に似ているために混同されがちです。

※「端集(はしづめ)」は花が枝の端に密集して咲く様子を表す言葉で、時間とともに「はしどい」に変化したとされています。

奇妙奇天烈(きみょうきてんれつ)

「奇妙奇天烈」もまた、テレビクイズの選択肢から生じた誤解の一例です。「紫陽花の別名は?」と問われた際に提示されたが、実際には紫陽花の別名ではないことが後に明らかになりました。これは紫陽花とは無関係な名称であり、誤って記憶してしまった視聴者もいたようです。

紫陽花の英語名とその由来

紫陽花の英語での呼称は「hydrangea」であり、これはギリシャ語で「水」を意味する「hydro」と、「容器」を意味する「angeion」から来ており、「水の器」という意味を持ちます。

学名は「hydrangea macrophylla」で、「macrophylla」は「大きな葉」を意味します。英語圏における紫陽花の別名に関しては、調査しても特定の情報は見つかりませんでした。もし英語に詳しい方が新たな情報をお持ちでしたら、ぜひ共有していただければと思います。

まとめ|紫陽花の魅力を再発見しよう

紫陽花には様々な別名があり、それぞれ独特の由来や歴史を持っています。「四片/四葩」から「本紫陽花」まで、その名前は紫陽花の形状や色の変化、利用の仕方に基づいています。また、「紫はしどい」や「摩訶不思議」など、誤解されがちな名称も存在します。

紫陽花の英語名「hydrangea」には「水の器」という意味があります。これらの知識を通じて、紫陽花の多様性と歴史の深さを再認識し、改めてその魅力に触れてみましょう。

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