夏休みの宿題で、中学生や高校生がよく直面するのが読書感想文です。
数学や英語のようにはっきりとした正解がないため、オリジナルの感想をまとめるのは難しいかもしれません。
特にこのタイプの課題が得意でない生徒にとっては、大きな挑戦となるでしょう。
私も学生時代、読書感想文に苦労した一人です。
ですが、いくつかのコツをつかむことで、感想文の書き方はぐっと楽になります。
実は、中高生向けの感想文は、重要なポイントを押さえれば、5~6枚の原稿用紙にまとめるのはさほど難しくありません。
この記事では、中高生が読書感想文を書く際の効果的なポイントを、具体的な例を交えて紹介します。
中高校生の皆さん、男女問わず、この記事を参考にして、感想文作成をもっと簡単にしてください。
具体的なサンプル文もいくつか紹介しますので「実際の書き方を見たい」という方にもおすすめです。
中学生が読書感想文をスムーズに書くためのコツ
さて、読書感想文の書き方を見ていきましょう。
この記事を読んで、感想文作成をスムーズに進めましょう。
読書感想文に適した本の選び方
もう本を選んでいる方は、このセクションをスキップしてOKです。
でも、まだ決めていない方は、早めに本を選ぶことを推奨します。
中学生の場合は、主人公に共感しやすい、または共通のテーマを持つ本を選ぶといいでしょう。
その方が感想文が書きやすくなります。
例として、以下のようなテーマが挙げられます。
- 部活やクラブ活動に関連する話
- ペットを飼う経験について
- 友達関係の悩み
- 特定の人への感情
- 家族(両親、兄弟、祖父母)への愛情
- 将来の夢や目標
- 平和への思いや関心
これらは多くの人が共感できるテーマです。
自分にとって書きやすいテーマを選ぶのがベストです。
読書中は付箋を活用して効率アップ!
読書感想文を効率的に書くコツの一つとして、読書中に「感想文に役立ちそうな部分」を見つけた際に付箋を使う方法があります。
この方法を取り入れると、あとで「この部分はどのような内容だったか」と思い返した際に、すぐに該当箇所を確認できるため、時間を節約できます。
特に、探している部分を見つけ出すのに時間がかかることがあるので、非常に有効な手段です。
付箋の使い方としては、特に「感動した箇所」や「主人公の印象的なセリフ」にマークを付けると良いでしょう。
主人公のセリフは、読書感想文の導入部分としても活用できるので、特に重要です。
実際、読書感想文では、セリフを使った導入部が評価されやすい傾向にあります。
読了後はノートで感想を整理
本を読み終えた後は、すぐに原稿用紙に書き始めるのではなく、普段使わないノートやチラシの裏などに、自由に感想を書き出すことがおすすめです。
この段階では、文章の質は気にせず、思いついたことを次々と記録していきます。
もし「どう書けば良いかわからない」と感じた場合は、読書中に付箋を貼った部分を再度読み返すと良いでしょう。
十分なメモが取れたら、その中から「一番伝えたいこと」を見つけ出し、文章のクライマックスや結びの部分に配置するようにしましょう。
読書感想文は、この「一番伝えたいこと」を軸にして、他のメモを順序良く組み立てていく作業です。
パズルを解くような感覚で、構成を楽しみながら考えてみてください。
中学生向け読書感想文の構成案:効果的な書き方のポイント
中学生のための読書感想文構成:どのように組み立てる?
中学生が読書感想文を書く際、効果的な構成をどのように組み立てるかが非常に重要です。
一般的な構成は以下の通りとなります。
- 題名
- 起(導入部)
- 承(本文の前半)
- 転(本文の中盤)※必須ではない
- 結(結論、まとめ)
この流れに沿って構成を考えると、読書感想文がより効果的になるでしょう。
以下で、さらに具体的に解説していきます。
中学生の読書感想文:題名の考え方と例
題名は読書感想文の「顔」とも言える大切な部分です。
しかし、多くの生徒は「〇〇を読んで」という一般的なタイトルを使いがちです。
もっとインパクトのある題名を考えることで、他の生徒との差別化を図りましょう。
例えば、以下のような題名を考えることができます(「」内は読んだ本のタイトルに置き換えてください)。
- 「舟を編む」との出会い
- 「くちびるに歌を」から学んだこと
- 「下町ロケット」に影響されて私が変わったとき
これらの題名は、印象を大きく変える効果があります。
さらにユニークなタイトルを考えたい場合は、次のようなアイデアがあります。
- 本のテーマに沿ったタイトル(例:「仲間と共に成し遂げたこと」)
- 本の感想をタイトルに(例:「心に響いた一冊との出会い」)
- 主人公の名前を使う(例:「豊臣秀吉との友情」)
- 疑問形で表現する(例:「本当に世界平和は実現可能?」)
- 否定形で挑戦的に(例:「受験勉強にさようなら!」)
これらのアイデアを活用することで、読書感想文の題名をより印象深くすることが可能です。
中学生の読書感想文:効果的な導入部の書き方
文章を書く上で最も重要な部分の一つが「導入部」です。
読者の興味を引くような導入部を目指しましょう。
効果的な導入部の書き方には、以下のような方法があります。
- 本との出会いを描く
- 疑問形で導入する
- 会話形式で始める
それぞれの方法について、例文を見てみましょう。
本との出会いを描く
吹奏楽部に所属し、クラリネットを演奏する私は『吹奏楽部のトリセツ!』という本に出会った瞬間「これは自分にぴったりだ!」と直感しました。
吹奏楽部の楽しさが詰まった本を手に、早速家に帰りました。ページを開くと…
といった導入部が考えられます。
このように「本との出会い」や「その本を選んだ理由」を語ることで、読者に自分の体験を共感してもらいやすくなります。
- 「この本を選んだ理由は、~~~だからです。」
- 「本屋でこの本を見つけた時、~~~と感じて魅かれました。」
- 「親に勧められて読んでみたら、読み始めると…」
このように、自分の率直な理由を述べることがポイントです。
疑問形での書き出し
もし私や私の大切な人が『博士の愛した数式』の博士のように記憶が限られていたら、どのように生きていくだろうか?
博士や家政婦のように心温まる存在になれるだろうか?
という疑問から読書感想文を始めるのは、非常に効果的です。
この方法を採用すると、疑問文に対する自身の考えを述べながら文章を展開することができ、書き進めやすくなります。
- 「もし私が主人公だったら、彼/彼女のように〇〇することができるだろうか?」
- 「友達が〇〇の立場にいたら、私たちはどう反応するだろうか?」
- 「主人公はどのようにして〇〇を成し遂げたのだろうか?」
このように、読書感想文を始める際の一つのアプローチとして有用です。
会話文を用いた導入
これは『君の膵臓をたべたい』の中で、余命宣告を受けた桜良が主人公に伝える言葉です。
限られた時間を生きる桜良と、健康な高校生の主人公の間に流れる、病気であろうと健康であろうと変わらない日々の価値についての強烈なメッセージが込められています。
このように、本の中で特に印象深いセリフを導入部に使用することもおすすめです。
読書中に印象的なセリフに付箋を貼っておくと、後で書き出し用の一文を選ぶ際に役立ちます。
中学生の読書感想文:本文の効果的な書き方
中学生や高校生が読書感想文を書く際、主に2つのアプローチが考えられます。
- 簡潔版:あらすじと感想のみ
- 充実版:自身の体験と本からの教訓を組み込む
どちらがより高い評価を得る可能性が高いかは一目瞭然です。
中学生や高校生であれば、充実版を目指すのが理想です。
ただし「それぞれに長所や短所があり、他の要素に焦点を当てたい場合もある」という考え方もあり、読書感想文を簡潔にまとめるのも一つの選択です(こっそりと)。
それでは、それぞれの書き方について解説していきます。
簡潔版の書き方
簡潔版では、読んだ本の中から印象に残ったシーンを1~3箇所選び、それについて順に記述します。
例えば「『~~』を読んで特に感動した点は3つあります。
- 1つ目は『~~』の部分です。ここでは、『~~』と感じました。
- 2つ目は『~~』の場面です。この場面では、『~~』と思いました。
- 3つ目は『~~』の箇所です。ここで私が感じたことは『~~』です。
このように、短くまとめることができます。
文字数を増やしたい場合は、あらすじをより詳しく記述することが一つの方法です。
評価を少しでも高めたい場合は、感想の部分をより充実させることをお勧めします。
充実したバージョンの読書感想文
高評価を目指す読書感想文では、詳細なあらすじの記述は必要ありません。
重要なのは「読んだ本を通して自分の過去を振り返り、どのように感じたか、またはどのような経験をしたか」という点です。
これは難しく思えるかもしれませんが、要点を把握すれば案外シンプルです。
野球をテーマにした本を読む場合、野球部に所属しているなら、以下のような経験を書くのが適切です。
- 厳しい練習に直面した時
- ライバルとの競争
- 初めてのホームランの瞬間
- 成功した守備の場面
- チームでの目標達成
- チームメイトとの衝突や協力
これらの瞬間について「自分はどう感じ、どのように行動したか」を振り返ります。
重要なのは、本の内容よりも「あなた自身の体験」を反映させることです。
例文
私は野球部に所属していて、通常は補欠だ。
練習試合でチャンスをもらっても、なかなかヒットが打てない。
努力はしているが、運動神経の良い友達は軽々とホームランを打っている。
自分にはそういった経験がなく、才能の差を感じて落ち込んでいた時「ホームランを打ったことのない君に」という本の一節が心に響いた。
「始める前から諦めるのかい?」というセリフに最初は反発した。
しかし、本を読み進めるうちに、そのセリフの意味が変わってきた。
実は仙ちゃんは…
このように、自身の体験に基づく感想文は、より深みがあり、評価が高まる可能性があります。
中学生向け読書感想文のまとめ方
読書感想文の本文を完成させた後は「まとめ」を作成します。
ここでは特に複雑な内容を書く必要はありません。
大切なのは「本を読んで自分がどのように変わったか、何を学んだのか、そしてその学びを今後どう活かしていくか」という点をまとめることです。
以下のような形で記述すると良いでしょう。
- 「以前は~~~と考えていましたが、この本を読んで~~~と感じるようになりました。」
- 「この本を読んで『~~~』という新しい目標を見つけました。これからは、その目標に向けて努力していこうと思います。」
- 「本を通じて『~~~』ということを学びました。今後はこの学びを活かして日常生活に取り入れていこうと思います。」
このような書き方でまとめることが効果的です。
例文
『ホームランを打ったことのない君に』を読んで、諦めない心の重要性と、目標に向かって努力することの価値を学びました。
この本のおかげで、普段の走り込みの練習も苦にならなくなりました。
厳しい状況は変わらないですが、仙ちゃんが乗り越えてきた困難を思うと、私も頑張れると感じます。
今はまだホームランを打てていませんが、いつか打てるようになるために、日々の努力を惜しまずに続けようと思います。
中学生の読書感想文:書き方のコツと注意点
感想文の構成が決まったら、次は実際に原稿用紙に感想文を書き始めます。
自信がなければ、最初にノートで下書きを作成することをおすすめします。
感想文を書き始める際は、最初に作成したメモを参考にしつつ、必ずしもメモ通りに書く必要はありません。
文章が長くなりすぎる場合は、不要な部分を省略するか、逆に内容が短い場合はエピソードを追加して充実させましょう。
感想文を効率的に完成させるコツは「とにかく書き始めること」です。
書き始めることで、自然と文章が形になっていきます。
完成後は、何度か読み返して間違いや矛盾点がないかを確認しましょう。
原稿用紙に書く際の注意点
原稿用紙に感想文を書く際は、以下の点に注意してください。
- 題名は上端から3マス下に書き始めます。
- 名前は姓と名の間に1マス空け、名前の下にも1マス空けます。
- 文章は行の始めを1マス空けて書きます。
- 会話文は「」(かぎかっこ)を使用して書きます。
また、句読点(。、)や小さな文字(ゃ、ゅ、ょ、っ)が行の先頭に来る場合は、前の行の最後に文字と一緒に書くか、行の下端に書くようにしましょう。
効率的な読書感想文の書き方
ステップ | 要点 |
---|---|
1 | 下書きを作成する。 |
2 | メモを参考にしつつ、自由に文章を構築する。 |
3 | 長さが足りない場合はエピソードを追加、長すぎる場合は要約する。 |
4 | とにかく書き始めることが大切。 |
5 | 完成後、間違いや矛盾点を確認する。 |
感想文を書く際のポイントを押さえて、効率的に書き進めましょう。
大切なのは、自分の思いや体験を文章に表現することです。
指示に従い、原稿用紙に感想文を書く際の注意点にも気を付けましょう。