- カボチャを漢字でどう表すのか、その読み方は?
- カボチャの漢字にはどんな起源や背景があるの?
- カボチャに関連する漢字の意味や背後にある物語が気になる!
柔らかくて甘いカボチャは、最近ハロウィンでの人気も高まっています。
実はカボチャには漢字での表記が存在し、その種類は5つ。
中には読みづらいものも含まれています。
この記事では、カボチャの漢字表記とそれぞれの意味や起源について詳しく解説します。
カボチャの漢字表記とは?その複雑さは真実?
カボチャを漢字で表すと、次の5つの表記があります。
- 南瓜(カボチャ)
- 唐茄子(とうなす)
- 唐瓜(からうり)
- 南京(なんきん)
- 熟瓜(ほそじ)
主に使用される「南瓜」をはじめ「唐茄子」「唐瓜」「南京」「熟瓜」のすべてがカボチャを指します。
同じカボチャを指すにも関わらず、それぞれ異なる読み方をするのは興味深い点です。
漢字における「瓜」の使用は他にも?
「瓜」を含む漢字は、多くの野菜名に用いられています。
特に「南瓜(カボチャ)」や夏に人気の「西瓜(スイカ)」が有名です。
では「北瓜」「東瓜」といった表記は存在するのでしょうか?
「瓜」を含む様々な野菜(植物)を調査したところ、次のような例が見つかりました。
- 西瓜(すいか)
- 南瓜(カボチャ)
- 冬瓜(トーガン)
- 真桑瓜(メロン)
- 胡瓜(キュウリ)
- 苦瓜(ゴーヤ)
- 蕃木瓜(パパイア)
- 隼人瓜(はやとうり)
- 糸瓜(へちま)
- 烏瓜(からすうり)
「北瓜」「東瓜」の表記は見つかりませんでした。
その理由については、起源を解説する章で詳しく触れていきます。
カボチャの漢字表記の背景と意義:その起源とは?
カボチャを指す漢字には、先ほど説明した通り五つの異なる表記があります。
- 南瓜(カボチャ)
- 唐茄子(とうなす)
- 唐瓜(からうり)
- 南京(なんきん)
- 熟瓜(かぼちゃ、ほそじ、ほぞち)
これら各表記の背後にある起源や意義を、一つずつ掘り下げていきましょう。
カボチャの漢字の起源や背景、意義とは?
カボチャに関連する漢字表記は、それぞれユニークな歴史と意味を持っています。
南瓜の背景
「南瓜」という表記はカボチャを指す最も一般的な漢字であり、日本ではこの文字を使ってカボチャを指します。
しかし、「南瓜」には2つの異なる起源が存在します。
ポルトガル経由の説
一つ目の説は、ポルトガルを通じてカボチャが伝来したというものです。
ここでの「南」はポルトガルではなく、実際にはカンボジアを指しています。
16世紀から17世紀にかけての「南蛮貿易」は、東南アジアからの輸入品を指す言葉でした。
この時期、ポルトガル人を通じて多くの商品が日本に持ち込まれ「南瓜」もその一つだったとされています。
中国からの伝来説
もう一つの説は、中国からカボチャが伝わったというものです。
中国ではカボチャを「南瓜」と表記し、この名称がそのまま日本に伝わったと考えられています。
ただし、中国での発音は「ナングァ」となり、日本語の「カボチャ」とは異なります。
これは文化交流を通じて、同じ植物が異なる読み方と意味を持つようになった一例です。
唐茄子の起源
続いて「唐茄子(とうなす)」の由来について解説します。
こちらの「唐」は、古代中国の唐の時代を指し、日本への伝来もその時期に関連しています。
「唐茄子」とは「唐から伝わった茄子類の植物」という意味合いを持っています。
この表記は、カボチャが中国の唐から日本に伝えられたことを示唆しており、当時の交易や文化交流の様子を偲ばせます。
このように、「唐茄子(とうなす)」の名前は、カボチャの多様な起源とそれがどのように日本に伝わり、現在に至るまでの名前が変遷してきたかを物語っています。
このように、カボチャに関連する漢字表記は、それぞれが異なる歴史的背景と文化的意義を持ち、日本におけるカボチャの認識と呼称の変化を示しています。
カボチャの漢字表記を通じて見ることができるのは、食文化だけでなく、交易と文化交流の歴史そのものです。
唐瓜の起源について
「唐瓜(からうり)」は、「唐茄子(とうなす)」と同様に「唐」から来た瓜を意味しています。
これは直接的に「唐から来た瓜」という意味合いを持ち、カボチャが瓜の一種であることを示しています。
この名称は、「唐茄子」と比較しても、より直感的にカボチャを瓜として認識させるものです。
しかし「唐瓜」には他にも意味があり、それは以下の通りです。
- キュウリ(胡瓜)のもう一つの名称
- マクワウリ(真桑瓜/メロン)としても知られる名前
南京からの名前の由来
「南京(なんきん)」は、中国の都市「南京」に由来する名前です。
カボチャが16世紀の南蛮貿易を通じてポルトガルから日本に輸入された際、中国の南京を経由したことからこの名前がつきました。
これは、カボチャが中国の特定の地域を経由して伝来したことを示しています。
熟瓜の名前の背景
「熟瓜(カボチャ、ほそじ)」は「よく熟したマクワウリ(メロン)」を指す言葉として始まりました。
以前にも触れたように「唐瓜(からうり)」も「真桑瓜(マクワウリ/メロン)」の一つの表現として使われていました。
カボチャが多種多様であることから、緑色の皮を持つ丸い形状のものだけでなく、ヒョウタン形の「バターナッツカボチャ」やメロンに似た外見の「金糸瓜」など、さまざまな形状のカボチャが存在します。
この多様性は、カボチャを「熟瓜」と名付ける際の理由をよく反映しています。
北瓜や東瓜が存在しない理由
「南瓜(カボチャ)」や「西瓜(スイカ)」は、どちらも中国由来の命名であり、地理的な方向性から名付けられています。
- 「南瓜」は、東南アジアからの瓜を意味する中国から見た南側の瓜
- 「西瓜」は、西アジアからの瓜を意味する中国から見た西側の瓜
仮に「北瓜」や「東瓜」が存在したとしたら、それぞれ中国から見た北側(モンゴルやロシア)や東側(朝鮮半島や日本)の瓜を指すはずです。
しかしながら、これらの地域から中国に伝来した、特筆すべき瓜は見当たらなかったため「北瓜」や「東瓜」という命名は見られません。
この事実は、地理的・文化的背景が命名に大きく影響していることを示しています。
カボチャの漢字表記についてもっと知ろう
漢字表記 | 起源・由来 |
---|---|
南瓜 | カンボジア(南蛮貿易)および中国からの伝来 |
唐茄子 | 唐の時代、中国からの伝来 |
唐瓜 | 唐から伝わった瓜、キュウリやマクワウリの別名としても使用 |
南京 | 中国の南京を経由して伝来 |
熟瓜 | よく熟したマクワウリからの命名、カボチャの多様性を示す |
カボチャの漢字表記は、その多様な起源と背景を持っています。
南瓜、唐茄子、唐瓜、南京、熟瓜の各表記は、カボチャが歴史を通じてどのように伝来し、命名されたかを物語っています。
これらの表記は、カボチャとその多様性への理解を深める鍵となります。